本記事では、多くの女性が悩まされている「膣 びらん」について解説します。
「びらん」と聞くと、「びらんと垂れる」というところから「ただれる」とイメージされがちですが「膣びらん」は、物理的に何かがただれているのとは違います。
今回は、そんな「膣びらん」について症状や原因、対策まで詳しく解説します。
膣びらん(子宮膣部びらん)とは
俗に言う「膣びらん」、正式には「子宮膣部びらん」と言います。
そもそも「びらん」という言葉は、皮膚や粘膜の表面の皮が傷み、その内側の層がむき出しになることを指します。
むき出しになった層は、唇のような薄いピンク色をしています。
「子宮膣部びらん」は、その状態がびらんのように「見える」ことから、その名があります。
子宮膣部(子宮のうち、膣に面した部分)は、扁平上の皮の下に円柱状の皮が存在しますが、女性ホルモンが活発に働くことで、この円柱状の皮が外側に張り出してきます。
この部分がびらんのように見える、というのが「子宮膣部びらん」の正体です。
ただし中には、膣表面の粘膜が傷んで崩れた結果、下部組織がむき出しになってしまうケースもあります。
このケースは「真性びらん」と言われ、病気が原因で起こるケースです。
ほとんどのケースは「仮性びらん」と言われ、細胞そのものは傷んでおらず、子宮頚部が厚くなり、膣内へと垂れ下がった結果、内側に隠れていた上皮がめくれてしまうという現象です。
膣びらんの症状
上記で述べたように、膣びらんのほとんどは病気ではないので、膣びらん自体は無症状です。しかし、びらんの部分は薄い皮で覆われているだけなので、ちょっとした刺激で炎症や不正出血を起こしてしまいます。
また、炎症を起こした状態だと、血液の混じった赤っぽいおりものが出たり、細菌感染などの炎症が起こりやすくなる、という弊害もあります。
膣びらんの原因
膣びらんの原因のほとんどは、女性ホルモンにあります。
びらんに見える部分は通常子宮膣部内に隠れていますが、女性ホルモンの分泌が活発になり、子宮頚部がぶ厚くなって膣内に垂れ下がっていった結果、内側に隠れていた上皮がめくれてしまう、というメカニズムです。
女性ホルモンの分泌は、時期によって活発になったり、抑え目になったりするので、誰しも一時的に膣びらんにはなり得ます。
逆にいえば、女性ホルモンの変化なので、女性ホルモンの分泌が落ち着いてきたら、びらんが元に戻っていきます。
ただし、「真性びらん」の場合は、本当に細胞が傷んでしまっているので、膣びらんで少しでも異常を感じたら、受診することをおすすめします。
膣びらんで起こるデメリット
膣びらんのデメリットとしては、やはり「ちょっとした刺激で傷みやすい」という点が挙げられます。
膣びらんそのものが病気でなかったとしても、細菌に感染して炎症を起こしたり、炎症が慢性化して腰痛や性交痛、頻尿などの排尿障害、子宮膣部の肥大による不妊など、さまざまな症状を併発するおそれがあります。
膣びらんは治療が必要?
多くの場合、膣びらんは病気ではなく、女性ホルモンの分泌が活発になることで周期的に起こる現象のため、特段治療は必要ありません。
女性ホルモンの働きで起こるので、閉経するまでは、一定周期で膣びらんが生じます。
ただし、仮性びらんでも、皮そのものを傷めてしまったり、炎症を引き起こしてしまった場合には治療が必要ですし、真性びらんの場合には、細胞そのものが傷んでしまっているため、こちらも治療が必要です。
膣びらんの治療方法
膣びらんの治療法としては、まず膣の洗浄が挙げられます。
膣びらん時に引き起こす炎症の多くは、細菌感染が原因になっているため、これらの細菌を洗い流すことから始まります。
この膣洗浄によっても症状がなくならない場合には、冷凍凝固術、電気メス、レーザーなど、さまざまな手段でびらんを取り去り、健康な上皮が再び形成されるのを待つ、という治療法もあります。
まとめ
以上、膣びらんの原因と症状、治療法についてお伝えしました。
膣びらんは女性ホルモンの働きが原因で起こるので、女性であれば誰しもが経験しうるものです。
多くの場合は「病気ではない」とされていても、ごく稀に病気の場合もあり、放置しておくと重い症状になるケースも存在するため、少しでも異変を感じた場合には、早めに専門家へ相談することをお勧めします。