「膣トレ(ちつとれ)」という言葉を聞いたことはあるけど、実際どうやるのか分からない。効果はどのくらいあるのか、そもそも膣が緩くなる原因は何故なのか、知らない人も多いのではないでしょうか?
この記事では、膣が緩む原因から、シーン別に膣トレの方法を分かりやすく紹介していきます。
膣トレとは
膣トレとは、「膣圧トレーニング」の略です。
「膣圧」とは、膣の内部の圧力のことで、膣の締め付け具合のことを指します。
この膣圧が低下する、つまり、膣が緩くなると、様々な弊害が起こります。
しかもこの膣圧、年を重ねるだけで低下してしまうこともあるので、意識的に高めておく必要があります。
そこで有効なのが、「膣トレ」です。
今回は、この「膣トレ」について解説します。
膣圧とは
「膣圧」とは、先述の通り、「膣が締め付ける圧力」のことです。
女性の膣あるいは子宮は、筋肉の塊そのもの。
身体の他の筋肉と同様、何かの拍子に伸びて、緩んでしまうことがあります。
そして、この緩んだ筋肉が、伸びたままの状態になってしまうことがあり、それがいわゆる「膣の緩み」です。
この膣の緩みを解消し、引き締め直すのが、膣トレの目的、ということです。
膣が緩いと起こる現象
そもそも、膣が緩いと何がまずいのでしょうか。
どんな現象が起きてしまうのでしょうか。
まずはこれについてお伝えします。
①尿漏れ
膣が緩いと起きてしまう症状のうち、最も典型的なのが、尿漏れです。
男女問わず、年齢を重ねると尿漏れに悩まされ始める方が一定数いらっしゃるようですが、女性の場合、その尿漏れの原因は「膣の緩み」かもしれません。
膣が緩み、引き締まっていないので、本来であれば、意識的に膣を緩めて排出するはずの尿が、ふとした拍子に漏れ出てしまう、という現象です。
「尿漏れは一度悩まされ始めると、もう治ることはない」と考えられたりもするようですが、尿漏れの原因が膣圧の低下かもしれないと考え、膣トレによって膣圧を高め直せば、悩まされなくなる可能性があります。
②入浴後に膣からお湯が出る
入浴後、尿が漏れた感じがしてパンツが濡れてしまう、という経験はないでしょうか。
この場合、漏れ出ているのは尿ではなく、「お湯」である可能性があります。
入浴していると、膣内にもお湯が入ってきます。
通常だとこのお湯、排尿時など、意識的に膣を緩めるタイミングでしか、排出されません。
しかし、膣圧が低下し、膣が緩んでいると、ふとした拍子に、いつでも排出される可能性があります。
これが、入浴後にお湯が漏れる、という現象のメカニズムです。
③膣ナラ
膣の中に入り込んでくるのは、何も水だけではありません。
膣圧が低下し、緩んだ膣には、当然スペースができます。
そのスペースには、空気が入り込んできます。
この空気が、下腹部に力を入れたときなど、ふとした拍子にガスとして漏れ出てくることがあり、これを膣ナラと呼びます。
自分でも意識していない、ふとしたタイミングで出てくるので、膣ナラによって恥ずかしい思いをしてしまうこともあり得ます。
④性交時にゆるいと言われる
そして最後、最もデリケートな悩みともいえる症状が、「性交時」です。
日常生活で、ご自身の膣の緩みを自覚していなかった女性が、いざパートナーとことに及んだ際に、パートナーから「緩い」と言われて、膣圧の低下を認識すると同時に、かなりのショックを受ける、というケースもあります。
男性からの「緩い」というフィードバックは、ことのほかショッキングなもので、これを気に病んで、落ち込んでしまう方も一定数いらっしゃいます。
以上、膣圧が低下してしまうと起こる症状のご紹介でした。
これらの症状を未然に防ぐために膣トレに励むもよし、逆に、これらの症状が見られたときに、自分は膣が緩んでいるかもしれない、と認識する契機にするもよし、何かの形でお役立ていただければと思います。
膣圧が低下する原因
では、このように様々な症状を引き起こす膣圧の低下、その原因は何なのでしょうか。
こちらも様々ありますので、1つずつ紹介します。
①加齢による緩み
すでに少し触れましたが、年を重ねるだけで膣は緩んでしまいます。
これは膣に限った話ではなく、体のどの部分を取っても同じだと思いますが、年を重ねることで、ハリがなくなる・たるんでくる、といった症状がみられるようになります。
②出産による緩み
出産も、膣圧低下の大きな原因の1つです。
出産をする際は、膣の筋肉が大きく開き、弛緩します。
その筋肉の緩みが、出産後元に戻れば問題ないのですが、出産時には、大幅に筋肉が伸びるため、完全には元に戻らないことが多く、結果的に膣の緩みにつながります。
③運動不足による緩み
膣などの臓器は、「骨盤底筋」という筋肉によって支えられています。
この「骨盤底筋」は身体のほかの部位の筋肉と同じく、運動不足だと筋力が低下し、それが膣の緩みにつながります。
また、「骨盤底筋」は、手や足などの筋肉に比べて、意識的に動かしづらく、その分緩みやすい筋肉でもあるので、特に意識して鍛える必要があります。
④肥満体型による緩み
太りすぎも、膣の緩みの原因になります。
なんとなく、「太っている人は緩い」というイメージはありそうですが、これは、太りすぎによって、骨盤底筋が支えなければならない重量が大きくなると、骨盤底筋にかかる負荷が大きくなり、それに耐えうるように骨盤底筋が伸び、膣が緩みます。
一度太ってしまった方が、その後頑張って体重を落としたとしても、一度緩んでしまった骨盤底筋がもとに戻らないこともあるため、昔体重が重くなったことがある、という方も膣の緩みが起こるかもしれません。
⑤便秘による緩み
最後に、便秘も膣の緩みの原因の一つです。
といっても、便秘になることそのものが問題ということではなく、便秘になり、排便しようと気張ることが、骨盤底筋を引き伸ばすことにつながり、膣が緩む、というメカニズムです。
以上、膣の緩みの原因をいくつかご紹介しました。
膣が緩む際には、共通して「骨盤底筋」という筋肉が低下している、ということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
この「骨盤底筋を鍛える」ということこそ、膣トレに他なりません。
膣トレの効果・メリットとは
では、そんな膣トレにはどんな効果やメリットがあるのでしょうか。
「膣が緩いと起こる現象が起こらなくなる」と言ってしまえばそれまでですが、副次的なメリットもありますし、何より、もしこれから膣トレをしようとする方がいれば、「トレーニングを続けるとどんないいことがあるのか」を具体的にイメージすることが、トレーニングを継続するうえで重要になると言いますので、ここでそのイメージをつけていただけたらと思います。
①充実した性生活が送れるようになる
膣が緩くなることで発生する悩みの中でも、「性行為で自分もしくはパートナーが満足しにくくなる」というのが、特に精神的にショックな悩みであるようです。
膣トレによって膣圧を取り戻せば、女性本人の感度が上がり、より気持ちよくなれるうえ、パートナーも満足しやすくなるため、恋愛そのものがより円滑に進むようになります。
②美ボディ効果
そして、膣トレには、美容効果もあります。
後ほどご紹介しますが、膣トレでは、骨盤底筋だけでなく、腹横筋、多裂筋、横隔膜といったインナーマッスルも合わせて鍛えることができます。
そのため、膣トレを継続していると、徐々に身体全体が引き締まっていき、「美しいボディ」を手に入れることができます。
③美肌効果
緩んで垂れ下がっている骨盤底筋を、膣トレによって鍛え上げて引き上げ、適切な位置に戻すことで、内臓が適切な位置に戻ります。
これにより、膣トレ前と比べて血流がよくなり、足のむくみがなくなるなど、健康面でも好影響をもたらします。
膣トレをおすすめする人
このように、膣トレは、健康や美容の面でも様々なメリットがありますので、多くの方にお勧めです。
✓満足のいく性行為ができていない人
✓先述した尿漏れのような症状がある人
✓現在太っている、あるいは過去に太っていた人
✓出産直後の人
✓身体を引き締めたいと感じている人
もちろん、他の一般的な筋トレと同様、膣トレの効果には個人差がありますが、上記のいずれかに該当する方は、膣トレで一定の効果を得られる可能性が高いので、ぜひとも取り組んでみられるとよいでしょう。
シーン別で簡単にできる!おすすめ膣トレ7選
いくら膣トレがおすすめだと言われても、筋トレというものそれ自体に抵抗感のある方、身体に負荷のかかる運動が苦手な方、わざわざトレーニングの時間を確保できない方、せっかくはじめても、長く継続できない方……。
様々な理由で、トレーニングの継続に難しさやとっつきづらさを感じる方もおられるでしょう。
しかし、膣トレは、日常生活の様々なシーンで、簡単に取り入れることができるので、比較的容易に始められ、継続することも難しくありません。
今回は、多くの人が着手でき、継続できそうな簡単トレーニング方法を7つ、厳選してご紹介します。
①通勤時間に立ってできる膣トレ
普段通り片手でつり革をもち、まっすぐな姿勢で立ってください。
- 骨盤底筋を意識しながら、膣と肛門を締めて緩める、締めて緩める……。
- これを繰り返します。このとき、呼吸は、締めたときに息を吐き、緩めたときに息を吸います。
②オフィスで座ったままできる膣トレ
椅子に座った状態でもトレーニングができます。
- 腰と背中がまっすぐに背もたれにあたる姿勢を意識して、リラックスした状態を作り、「膣と肛門を、息を吐きながら締め、息を吸いながら緩める」動きを繰り返します。
③家事をしながらできるスクワット
以下の手順で進めます。
- こぶし1つ分程度の間隔に足を開き、直立します。
- 膣とお腹を締め、両手を足の付け根にあてた状態で息を吸い、息を吐きながらゆっくりと膝を曲げます。このとき、背中が丸まったり、膣とお腹が緩んだりしないように注意します。
- これ以上吐けないところまで息を吐ききったら、今度は息を吸いながら膝を伸ばし、直立の姿勢に戻ります。
- 上記を、膣とお腹を緩めることなく、何度も繰り返します。
このトレーニングは、特に道具が必要なものでもないので、例えば、料理を作っている際のわずかな待ち時間などに実践でき、トレーニング時間をわざわざ確保しなくてよいのでおすすめです。
④立ってできる膣トレ
下記の手順で進めます。
- 両足を揃えて、まっすぐな姿勢で立ちます。その後、片手をお腹に、もう片方の手をお尻に当てます。
- そのままの姿勢で、お尻の穴を締めるような意識で膣と肛門を締めます。
- 締めるときに息を吐き、緩めるときに息を吸います。これを2~3回繰り返します。
- 息をゆっくりと吐きながら、膣と肛門を強い力で10~12秒間、ぎゅっと締めます。
- 締めきったら、今度は同じくらいの時間をかけて、息を吸いながらゆっくり緩めます。
- これも2~3回繰り返します。
※手をお腹とお尻に当てたのは、上記一連の動作において、呼吸と筋肉の動きを確認するためです。きちんと息を吸って吐いているか、筋肉は締まったり緩んだりしているか、確認しながら丁寧に体を動かしましょう。
⑤テレビを観ながらできる膣トレ
床に座ってテレビを観ながらトレーニングする方法もあります。
- 床に腰を下ろしたら、壁に軽くよりかかって全身の力を抜きます。
- その状態から、10~12秒の時間をかけて、息を吐きながら膣と肛門を締め、今度は、同じくらいの時間をかけて、息を吸いながら膣と肛門を緩めます。
- この動作を10回ほど繰り返してください。
全部で、長くて4分ほどのトレーニングなので、CM中などに実践するとよいでしょう。
⑥寝ながらできる膣トレ
寝る前、あるいは起きる前、ベッドに寝そべった状態でできるトレーニングもあります。
下記の手順にそって進めます。
- 仰向けになり、力を抜いた状態で両ひざを曲げます。
- 10~12秒かけて、息を吐きながら膣と肛門を締めます。
このとき、骨盤の底をお腹の方に近づけていくイメージです。 - 同じくらいの時間をかけて、今度は息を吸いながら、膣と肛門を緩めます。
- 最後に、40~50秒ほど全身脱力してリラックスします。
- 以上を何度か繰り返します。10回以上繰り返せたら理想的ですが、慣れないうちは、無理のない回数が重要です。
⑦グッズを使った膣トレ
以上のような膣トレは、どれも効果的ではありますが、日常生活で意識的に膣を締める経験がない方が多く、膣の締め方がわからない、という方も一定数いらっしゃいます。
そんな方におススメなのが、インナーボールを使ったトレーニングです。
インナーボールを膣に挿入した状態で、10~15分程度を目安に、下腹部に力を入れるだけなので、簡単にインナーマッスルを鍛えることが出来ます。
以上、膣を引き締めるためにおすすめのトレーニング方法でした。
いずれのトレーニングも、重要なのは「継続すること」です。
上記に記載の運動回数や継続時間は、あくまでも目安ですので、慣れないうちは、少なめに数を設定するなどして、継続できる範囲の負荷をかけるようにするのがおすすめです。
よくある質問
最後に、膣に関する、よくあるご質問を紹介します。
Q. 膣に空気が入って、おならのような音がなります。膣トレで改善できますか?
A、改善できます。冒頭でも少しご紹介しましたが、おならのような音が出るのは、「膣ナラ」という症状です。これは、膣が緩んでできたスペースに空気が入り込んで起きるので、膣圧を高め、このスペースをなくしてしまえば、膣ナラは起こらなくなります。
Q. 膣トレで効果が出ません。他に膣の緩みの改善方法はありますか?
A、あります。「膣縮手術」という、膣を引き締めるための手術が可能です。吉沢クリニックでは、過去の施術実績も豊富なドクターが膣縮手術を手掛けておりますし、カウンセリング等も承っておりますので、まずは一度、お気軽にご相談にだけでも、お越しください。
まとめ
ここまで、膣の緩みの原因とその症状、改善策についてお伝えしました。
膣圧を適切に保つことは、女性が女性らしく生活していくうえで非常に重要です。
しかし、加齢や出産などして生きているだけでも、膣は緩んで来てしまうものです。
見方を変えれば、すべての女性が膣の緩みに悩まされる可能性があり、実際に膣の緩みに悩まされている方も、思いのほか多いということです。
少しでも心当たりのある方は、ぜひ早いうちに、当院にご相談ください。